バブル崩壊の仕組み 2016 5 29
書名 中国崩壊後の世界
著者 三橋 貴明 小学館新書
本屋に行けば、「中国のバブルは崩壊した」という本が多いですが、
私は、そのように断定してよいか疑問を持っています。
実は、バブルとは、報道の自由があってこそ、
つまり、言論の自由があってこそ、崩壊するのであって、
そういう自由のない中国においては、
不動産バブルは、崩壊しにくいと思います。
言論の自由があれば、
「この土地から得られる賃料から見れば、
明らかに土地の価格は高すぎる。
この高層住宅の得られる賃料から見れば、
この相場は、明らかに異常である」という議論が起こり、
マスコミでは大きく報道され、
しかも連日のニュースとなるでしょう。
政府にとっては、このようなニュースは都合が悪いので、
情報統制したいところですが、言論の自由があるので、
このようなニュースを止めることができません。
その結果、不動産バブルは崩壊することになります。
しかしながら、中国においては、
言論の自由がなく、情報統制が行き届いています。
その結果、不動産バブルの崩壊は起こりにくい。
さらに、金融機関に対して政府による統制が可能なので、
なおさら不動産バブルの崩壊が起こりにくいと思います。
そのため、ある程度収入のある庶民は、
無理してでも高額の不動産を購入して、
給料の大半を不動産ローンの返済に充てることになります。
そういうわけで、今後も、ある程度、
世界各地で、中国企業による買収や「爆買い」(買い物ツアー)は続くと思います。
つまり、中国は、世界経済に対して、影響力を持ち続けると思います。
さて、著者による現地取材は、迫力があるものであり、
「行動する経済評論家」として当代随一でしょう。